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包装リースだより

包装リースだより(2016年11月号)

2016年11月15日

体験的中国司法論②

前号に続き、裁判を通して垣間見た中国司法の実情について記載します。

③典型的ムラ社会
トラブル当初に契約したのは、中国事案に詳しいと評判の東京の弁護士事務所でした。
しかし某市に近い大都市の提携弁護士も含めてチームを組んだのに、結果は惨憺たるものでした。その後地元の弁護士に切り替えたところ、トントン拍子で話が進み、ごく短期間で一審判決まで辿り着きました。弁護士の動きを見ていると、一般的なイメージと異なり、裁判官や市政府との調整にかなりの時間を割いていました。要は顔見知りの司法・行政関係者の間での合意形成が裁判を進める上で最も重要で、これではいくら有名な弁護士事務所でも地元にポジションがないと物事は動きません。

④面子という魔物
ビジネスの世界でも中国企業と議論していると「面子」という壁に突き当たることがよくあると思います。日本人からすると単なるわがままに見える時も多いわけですが、裁判でも同じようなやり取りが散見されました。勝ち負けを争っているときに「面子」でもないような気もしますが、裁判の要所要所で、弁護士からも可能な範囲で配意するようアドバイスされました。

⑤勝訴した後が勝負
4年以上かけてようやく勝訴判決を確定したうえで、台湾側の「面子」にも配慮して和解という形をとって、賠償金が確定しましたが、人民元建ての賠償金を米ドルに交換して日本に送金させるのがまた一苦労で、この調整に3か月かかりました。途中外為管理等に絡めて行政サイドで色々な動きがありましたが、この段階では和解を調停した形の裁判所が「面子」にかけて送金作業をしてくれました。「面子」の効用を感じた数少ない場面でした。

⑥パートナーよりも弁護士
知り合いの米系企業の人から、「日本企業は海外進出する際にまずビジネスパートナーを探すらしいが、自分たちは良い弁護士を探す」と言われたことがあります。確かにパートナーと事業契約を締結するにも現地の法体系やビジネス慣行に精通した弁護士が一緒にいてくれれば、リスク管理上は大きな力です。何しろ中国企業(台湾も)のサークルには日本企業と合弁契約を結ぶ場合のひな型があって上手くコントロールできるようになっている、という噂?もあったくらいです。ただ良い弁護士ほど高いことも事実なので(日本とあまり変わりません)、コストパフォーマンスの精査は必要でしょう。

以上取り留めもなく記載しましたが、なかなか文字にしにくいことも多いので、もし何かあれば、ご相談いただければ、と思います。(完)

副社長 君浦康友

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